学術大会・研修会開催報告

第50回 記念学術大会 報告

第50回日本口腔インプラント学会記念学術大会(関東・甲信越支部主管・第40回関東・甲信越支部学術大会および他5支部学術大会併催)を2020年9月19日より25日までの7日間、オンデマンドWeb形式にて開催いたしました。


本大会のメインテーマは「インプラント治療 -これまでの50年、これからの50年- 」であり、今後の50年を見据えて学会の果たす役割・目標を" 2020年宣言として"国民の健康寿命延伸への貢献!" と掲げさせていただきました。

2020年宣言 国民の健康寿命延伸への貢献!

  1. 安全・確実なインプラント治療法の教育と普及をさらに推進します。
  2. 口腔機能の維持・向上による健康寿命延伸のためのインプラント治療を探求します。
  3. より質の高いインプラント治療を国民の皆様に提供するための専門医を育成します。
  4. ライフステージに合わせたインプラントの治療法や口腔管理法を確立します。
  5. インプラント治療に関連する領域の革新的テクノロジーの進歩に貢献します。

この本大会のテーマを達成するために企画されたセッションプログラムは56演題、全研修施設セッション72演題、研究発表プログラムは優秀研究発表20演題、歯科衛生士セッション11演題、歯科技工士セッション11演題、ポスター発表228演題、共催セミナー14演題となり、発表演題は合計で412演題に上りました。コロナ禍の本当に大変な時期に、発表のご準備いただいた全ての演者に、敬意を表しますとともに感謝申し上げます。また、プログラム集を始め運営に奔走されました支部の運営委員の先生方に感謝申し上げます。

大会参加者に関しましても、登録人数5,907名、市民公開講座(一般参加者など)1,171名であり、合計約7,100名の過去最高参加者を数えることが出来ました。これもひとえに、インプラントの治療と研究に熱心に取り組まれている会員各位、ジョイントいただいた学会の会員の先生方、そして全ての協賛企業のお陰であり、関東甲信越支部所属の皆様に深く感謝申し上げます。

特別講演1におきましては、"本田-藤嶋効果"を発見され2017年に文化勲章を受章された藤嶋昭先生(東京大学特別栄誉教授)に「Medical Applications of Photocatalysis- Effective killing of Bacteria and Virus」をテーマに光触媒の医用応用に関してのお話をしていただきました。

iPS研究の権威・岡野栄之先生
iPS研究の権威・岡野栄之先生
(慶応義塾大学医学部長)
また、特別講演2においては、iPS分野のトップランナーである岡野栄之先生(慶應義塾大学医学部長)に、損傷した神経の再生治療のみならず、iPS技術を駆使した脳の形成の再現や進化研究に至るまで、最先端の興味深いお話していただきました。

歯科のAI応用を語る・山口高平先生
歯科のAI応用を語る・山口高平先生
(人工知能学会顧問)
特別シンポジウムに於きましては、内閣府が実現を目指すSociety 5.0を踏まえて、「AI(人工知能)による医療革命に備える―AI理論から治療設計とRoboticsの未来像まで」をテーマとして、日本を代表する人工知能学会顧問の山口高平先生、日本デザイン学会会長の松岡由幸先生、スタンフォード大学主任研究員の池野文昭先生に、AIをいかに活用すべきかについてのご講演をしていただきました。ディスカッションにおいては、今後の日本の課題に関しての熱いお話を聞くことができました。

Prof. TomasAlbrektsson
Prof. TomasAlbrektsson
特別セミナーにおきましては、新型コロナウイルス感染症の現状と対応をテーマとして、衆議院厚生労働委員長の盛山正仁先生および神奈川県歯科医師会常務理事の今宮圭太先生に、新型コロナウイルス感染症を政策と歯科医療現場の立場から貴重なお話しいただきました。 海外演者として、故ブローネマルク教授とともにインプラントのMaterial Scienceを牽引されてこられたProf. Thomas Albrektsson先生にスウェーデンより御登壇いただき、インプラント周囲の骨吸収に関しての新しい知見をご講演いただきました(ICOIジョイントセミナー)。

インプラント臨床の実際に関しましては、各分野の第一人者によるシンポジウムが多数開催されましたが、それぞれのシンポジウムに於きまして、世界レベルの素晴らしいご講演をしていただきました。

本大会では、日本補綴歯科学会、日本老年歯科医学会、日本顎顔面インプラント学会、日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会、日本デジタル歯科学会、ICOI、日本臨床歯科学会等の、関連諸学会と共に多様なテーマに関してジョイントシンポジウムを開催することができました。ご協力いただきました全ての学会理事長並びに関係者の皆様に、ここに改めて感謝申し上げます。

今回の大会におきましては、医学系学会として新型コロナウイルスの感染防止対策への配慮を行い、本学会初のWeb形式大会といたしました。今回はオンデマンドの配信形式を採用したため、"いつでも見ることが出来て便利だった"、"複数回視聴できたので理解が深まった"、等のご意見をいただきました。また、もう少し大会期間が長くあって欲しかったとのご意見も頂きましたが、今後のWeb大会の参考にしていただけるものと存じます。

最後となりますが、今回の記念大会を開催するにあたり、2年以上に渡り献身的にご協力いただきました関東・甲信越支部の担当委員の方々、並びに協賛いただきました全ての企業様に改めて御礼申し上げます。

本大会が参加者とって実りあるものであったならば、大会主催者として何よりもの喜びあることを申し添え、第50回記念学術大会の報告とさせていただきます。            

第50回 日本口腔インプラント学会記念学術大会
大会長 井汲 憲治

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